うつ病について、一般論と自分の経験
今回は、うつ病について真面目にお話したいと思います。
入院生活は変化がなく、書くことがなくなっちゃったからです。
厚生労働省の説明では、このように説明されています。
一日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめないといった精神症状とともに、眠れない、食欲がない、疲れやすいなどの身体症状が現れ、日常生活に大きな支障が生じている場合、うつ病の可能性があります。うつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスなどを背景に、脳がうまく働かなくなっている状態です。また、うつ病になると、ものの見方や考え方が否定的になります。
だいたいはこんな感じですが、DSM-5での説明を追記すると
1.抑うつ気分
2.興味・喜びの著しい減退
3.食欲減退や体重減少
4.不眠(または過眠)
5.精神運動焦燥、または精神運動制止
6.気力の減退や疲労性
7.自己の無価値観や罪責感
8.思考力、集中力の減退、決断困難
9.自殺念慮、死についての反復思考
このうち1か2を含み、5つ以上の症状が2週間以上持続するもの、とあります。
私は今回が2回目の発症となります。
1回目と2回目では大きく症状が違いました。
2回目の今回は、みごとにすべての項目を網羅していました。
1回目の発症は去年の8月より前に不眠から始まりました。
次の日が仕事であっても4時くらいまで眠ることができず、毎朝ぎりぎりの出勤状態でした。
不眠が続くと勤務中集中力がなくなり、目の前にあることの判断も素早くできず、ある物にも気づくことができなくなりました。
患者さんを観察し、異常を発見するということにも疎くなってしまっていました。
そうなると焦ってしまい、余計にわけがわからなくなり、聞かれた質問に答えるまで時間を要するようになってしまっていました。
もちろん仕事ではミスを連発し、自分を責め毎日苦しかったです。
上司に不眠のことを相談しましたが、「私のほうがねれてないよー」とか「私はショートスリーパーだから」と笑って返されてしまい、どうすることもできませんでした。
常に気持ちは曇っていて、仕事に行くとき意識せずとも自然に涙が流れていることもありました。
1度無意識に車で反対車線を走っていたこともあります。
疲れやすく、仕事が終わると自宅のソファから一歩もうごけない状態でした。
友人と先輩から眠剤をわけてもらい、なんとかそれを使用して眠りを確保しながら出勤を続けましたが、ついに眠剤が終わってしまうとなったとき、診療内科へ予約の連絡をしました。
最初は電話をかけることに抵抗がありました。
看護師なので、自分がうつ病であることには気が付いていましたが、それを認めることは甘えを認めることととらえていたので、正直受診はしたくなかったです。
でも、仕事の効率が悪くなってスタッフや患者さんに迷惑をかけることが何よりもいやだったので、受診しようと決意しました。
受診した病院では「暑いから熱中症じゃない?」と言われて悲しい気持ちになりましたが、SDSの結果をみて診断結果はやはりうつ病でした。
先生からは、診断書を書くから休めと言われましたが、メンタル疾患で休職することに抵抗があり、拒否しました。
職場で、他のメンタル疾患で休んでいる人をずる休みだという人がいることを知っていたのです。
抗うつ剤と、抗不安薬、他の薬を処方してもらい、帰宅しました。
家族には一言も受診のことは伝えませんでした。
余計な心配をかけることと、自分の性格上家族に弱みは見せたくなかったのです。
抗うつ薬は効くまで3週間ほどかかると言われています。
それまでは、抗不安薬をのむことでしのぎました。
私には抗不安薬がとてもよく効いて、飲んで仕事をすると思考がクリアになり、以前に近い状態で仕事ができるようになりました。
体はしばらくつらいままでしたが。
周囲の人にも何も言いませんでした。
一応のフォローを求めて上司には伝えておきましたが、あまり期待はしていませんでした。
だんだんと抗うつ薬も効くようになり、少しずつ楽になってきました。
それからはほとんど安定していて、たまに抗不安薬を飲めば対応できるようになっていました。
調子がよくなってからの私は、自分の仕事を早く終わらせ、他のスタッフをフォローするよう努めました。
今までの分を取り戻したい気持ちもあったと思います。
必死でした。
その後、看護長に依頼していた「いまより楽な病棟に異動させてほしい」という要望が通り、病棟を異動することになりました。
病棟異動後はミスを起こすこともなく、仕事もスムーズに進み、人間関係も構築していくことができました。
前の病棟より仕事の内容も楽になっていたので、少し余裕がありました。
頭の中には前の病棟のことがあり、前みたいになりたくない、思われたくない、だから今回は失敗も絶対しないようにして、みんなのフォローにまわるくらい余裕を持とう。と、ずっと考えていました。
このままうつ病はよくなっていくんだろうな、と思いながら仕事を続けていました。
ところが、また8月ごろになると調子がくるってきました。
虚しい気持ちが頭から離れなくなり、何をしても味気なく、つまらなくなりました。
ときおり動悸や息苦しさにおそわれ、不安でこころが満たされることが増えました。
今回は、なにも原因はありませんでした。
仕事も順調。人間関係も順調。家族とも問題なし。一人暮らしをして自由を満喫していたところだったからです。
なのになんでまたこんな症状が出るんだろう、と疑問でした。
そのうち、だんだんと希死念慮が出るようになりました。
死にたい理由なんてないのに、自然に死を考えてしまうんです。
川を見たら、飛び込んだら死ぬのかな。
高い建物を見たら、飛び降りたら死ねるのかな。
そんなことばかり、四六時中考えるようになりました。
患者さんに「調子はどうですか、早くよくなるといいですね」と笑顔で声をかけながらも、自分の心の中は「つらい、死にたい」と繰り返していました。
死にたいと願う自分が、生きたいと願う患者さんを看護することに罪悪感がありました。
だんだんと、人の前で笑顔をつくることにも疲れてきて、無表情になってしまう時間が増えました。
さすがに異常だと思い、病院を受診し症状を訴えましたが、
「暑いから熱中症じゃないの」と言われ、抗不安薬が処方されただけでした。
また、カルテの記載が間違っていたり、処方された薬が違っていたこともあり、
病院への不信感は募りました。
上司に他にいい病院はないか相談し、他の病院を受診することになりました。
その前に間を挟んで自分の病院の精神科を受診したら、すぐに1カ月の休職を提案してくれました。
休職し、次の病院を決めるまでしばらく実家で療養しました。
一人暮らしで今までできていた料理をつくることができなくなってしまったのです。
辛かったのは希死念慮です。
自殺する勇気はありません。なのに、いつも頭の中に死があるのです。
うつ病の症状がつらいからそれから逃げたくて死にたくなるのでしょうか。
この症状は、言葉で伝える自信はありません。
同じ症状を味わった人にしか、理解できない感覚だと思います。
他にも、理由なく涙がとめらなくなり過呼吸になったり、食事をほとんど取れなくなり親を心配させたり、寝込んでトイレ以外動けなくなったり、いろいろありました。
いっそのこと死ぬことができたらどんなに楽か。
ここでわかりました。
うつ病の人が自殺するのは、ほんとに死にたいのではなく、病気にころされたのだと。
調子がよくなると動けたので、うれしくて動く。
すると、次の日反動でもっとつらくなる。
その繰り返しで、症状は一向によくならず、悪化する一方でした。
次にいく病院への紹介状を持って行ったとき、少し安心感がありました。
穏やかな雰囲気で、きれいで、想像していた精神科の病院と違ったからです。
先生はバケツの水に例えて病気を説明してくれました。
以前バケツの大きさを抗うつ薬を飲むことで大きくしたが、ストレスの発散方法がないことや自分の物事の受け止め方がうまくいかず、今はバケツが穴だらけで、水があふれているのだと。
いろいろわかりやすく説明してくれ、親身になって聞いてくれました。
そこで入院が決まり、今に至ります。
入院生活を暇だと思えるくらい回復して、ほんとうによかった。
今は希死念慮も消えてくれました。
まだ、治療の途中ですが、もっとよくなると信じています。
うつ病とは今後もつきあうことになるのでしょう。
自分の個性として受け入れて、自分を認められるようになりたい。
とりあえず今は悪化することのないように、死の世界に戻らないように気をつけて過ごしています。
もう2度と、あんなつらい症状は味わいたくない。
薬や治療について知りたかったので、うつ病になってから購入した本です。
精神科の先生が書いている本で、必要最低限のこと、重要ポイントだけ書いてあります。
主要な精神疾患について書かれているので、特殊なものに関しては記載されていない可能性はあります。
治療や薬について載っているので、うつ病で闘病されている方、自分の飲んでいる薬がSSRIなのか、SNRIなのか、三環系なのか、どんな特徴があるのかは把握しておいたほうがいいかもしれません。
実際私も一番最初の病院でいきなり三環系抗うつ薬を処方されていたため、こんかい入院してSSRIへの変更をしているので。
結構重要かもしれません。
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ねじ子はシリーズがいくつもあって、これは最新作です。
過去には新人看護師におすすめしたい、看護技術の本やオペの本、心電図モニターのみかたなど、難しいテーマをかわいい漫画でわかりやすく解説してくれています。
医療従事者は持っていて損はしません。
医療従事者出ない人でも、漫画形式になっているので楽しめるのではないか、と。
医療ドラマはある程度医療の知識があったほうがおもしろいので、ねじ子の本を読んで知識を身につけてみるのもいいかもしれませんよ。
とにかく、面白くてお気に入りです。
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